香川県直島は直島、豊島、犬島で展開されていアート活動「ベネッセアートサイト直島」の中心地で、いわゆる美術館で絵画や彫刻を鑑賞するのとは違う手法で、自然と生活に根差したアートが展開されています。
瀬戸内海の風景の中、ひとつの場所に、時間をかけてアートをつくりあげていくこと―各島の自然や、地域固有の文化の中に、現代アートや建築を置くことによって、どこにもない特別な場所を生み出していくことが「ベネッセアートサイト直島」の基本方針です。
ベネッセアートサイト直島
ゴールデンウィークに訪問した豊島がとても良かったので、今度は直島を訪問してきました。
フェリーターミナル 海の駅なおしま
直島の玄関口、「海の駅 なおしま」は妹島和世と西沢立衛の建築ユニット、SANAAの設計です。見るからにSANAA、360°どこを見回してもSANAA的な建物。
ただ、瀬戸内海の潮風と太陽が厳しいのか、近づいてみると傷んで汚れてしまっている箇所が目に付きます。もったいない、修繕すればいいのに。
赤かぼちゃ
直島と言えばコレ!の草間かぼちゃ。
毒々しい宇宙生命体みたいだけれど、実際は写真で見るより直島の空気になじんでいて違和感はまったくありませんでした。かぼちゃに周囲の空気を変えてしまうほどの圧力があるのか、島の真っ青な空気にさらされるとすべてが漂白されてしまうのか。
直島パヴィリオン
藤本壮介氏の「直島パヴィリオン」。27島からなる直島諸島の「28番目の島」をコンセプトに制作された作品だそう。中に入ることができるので、娘はジャングルジムと勘違いして(?)楽しんでいました。
地中美術館
そして今回の旅のメインがこの地中美術館。安藤忠雄による安藤忠雄的な建物に収蔵されるのはモネの睡蓮シリーズと、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルのインスタレーション。
建物・空間そのものがアートなので、芸術好きだけでなくて建物好きも楽しめる場所でした。でも、正直に述べると、ウェルカムな雰囲気の全くない場所だったなという印象でした。
フラッシュ使用の有無を問わずに敷地内全て写真撮影禁止。
モネの部屋には娘が入室しただけで係員さんがぴったり張り付いてくるので居心地が悪かったです。絵に触らないように気にかけるのは理解できますが、親としっかり手を繋いで静かに離れたところから鑑賞しているのに、子供であるという理由だけでこの扱い?と疑問に思いました。
イエプロジェクト
一方、イエプロジェクトは素晴らしかったです。特に心に残ったのは「南寺」と「石橋」です。
イエプロジェクト「南寺」
特にこの「南寺」。予備知識なしに行き、一目見てこの家かっこいい!!!!!!と超テンションUPしたら安藤 忠雄氏設計でした。安藤 忠雄さんはRC造好きのキワモノ建築家だと思っていたので(失礼)、こんな清楚な木造建築が建てられるとは…と目から鱗でした。そしてこの南寺のインスタレーションも良かった。
イエプロジェクト「石橋」
製塩業で栄えていた石橋家のお屋敷に、千住博の「ザ・フォールズ」と「空(くう)の庭」が展示されています。
「ザ・フォールズ」は千住博美術館と同じ展示方法(ネタバレになるので詳しくは書かず)ですが、展示場所の空気感が素晴らしく圧巻でした。そして「空(くう)の庭」!!
ザ・フォールズのテーマになっている滝が描かれた絵ではなく山水画の襖絵です。観賞用の日本画としても千住博氏の絵は見ごたえがありますが、襖はまさに日本画のための舞台。見事なお座敷の襖としてたたずむ14面の絵は言葉にできないほど見事でした。
人が住んでいた頃の時間と記憶を織り込みながら、空間そのものをアーティストが作品化しています。地域に点在する作品は、現在も生活が営まれている本村を散策しながら鑑賞することになります。その過程では、場所の持つ時間の重なりやそこに暮らす人々の営みを感じることでしょう。
まさにこのイエプロジェクトのテーマ通り人が実際に住んでいたお屋敷にあるからこそのアート、観賞用ではなく実用の発展の完成形。心に残りました。
島内の移動はレンタル自転車がおすすめ
子連れでアート鑑賞というと敷居が高く感じますが、直島・豊島は散歩の延長のような感じで4歳児連れでも十分楽しめました。晴れた11月の直島はサイクリングにちょうど良く、アートだけでなく島の景色も楽しめます。
どちらの島も子連れの場合はレンタル自転車がオススメ!ただし子乗せ自転車は数がないので予約していったほうが良いと思います。我が家はTVC直島レンタルというお店で予約していきました。
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