育児は作業じゃないのに、ワンオペ(1人作業)なんて表現をするな!という批判に感じる違和感を語る

ワンオペ育児とだらしない読書

ワンオペ育児という言葉、広く聞かれるようになりましたね。一方でこの言葉の語感に違和感を感じる!物申したい!という意見も散見されるのですが、その中で、わたしが特に気になるのが「育児は作業じゃないのに、1人作業と表現するのは何事か!!」という批判です。

育児をオペレーションと表現することは妥当だと思う

ワンオペ育児の語源になった「ワンオペ」は飲食店などの用語で長時間1人で店を切り盛りすることを指すそうですが、そういう意味なら育児を(ワン)オペレーションと呼ぶことは妥当だと思います。

注文をうけ、調理し、配膳して会計したうえ片づけをする一連の作業をオペレーションと表現しているのですから、これを育児に当てはめるのはむしろ言い得て妙な、納得できる語感です。
子供を着替えさせ、トイレの始末をし、食事を食べさせ、遊びに連れ出し、入浴させて寝かしつける。子供の年齢によって親が手伝うことは様々ですが、育児はまさに一連の作業です。

「作業」という言葉は悪い言葉?

「育児は作業じゃない!」と主張される方の中には、作業と言われると一切感情の介在しない行為、または工夫や効率化といった個性をさしはさんではいけない行動のように思われているのかもしれません。

自己啓発本などでは「デキる人は仕事をする、デキない人は作業をする」なんて表現されていることもあり、作業という語感に、知らず蔑視的な雰囲気を感じられるのかもしれません。
または、育児はすべて愛情行為であって、喜びをもって自発的に行われるべきであり、責務のように表現されること自体に嫌悪を感じていらっしゃるのかもしれません。

個人的には「作業」という言葉そのものに悪い語感はないし(例:作業効率、修復作業)、育児はやりたい/やりたくないに関わらずしなければいけない事であるという点にもまったく疑問を感じないのですが、それでも「育児を作業を表現することに納得がいかない!」と言われた場合の補足説明を考えてみました。

そもそもOperationは「作業」?

英語でOperationと言った場合、作業だけでなく運転、稼働、作戦、行程、業務、営業活動といった意味があります。

個人的にはOperationは「作業」というより、「運転」「稼働」のほうが近いイメージです。例えばエンジンを動かすこと(燃料が供給され、空気を吸って、シリンダーの中でピストンが上下して軸を回す一連の動き)をOperationと表現します。
またはO&M(Operation & Maintenance)というように「運用と保守」のように使われるイメージです。

そう考えると、もちろん育児に限ったことでなく、日常生活はOperationから成り立っていると考えられると思っています。1日を滞りなく過ごすために環境を整える家事もOperationだし、1週間を無駄なく過ごすためにスケジュール配分してこなしていくこともOperationです。

そしてOne-man(person) Operationといえば、バスや電車などで車掌さんがいない、運転手さん一人だけの運行を指します。いわゆるワンマンカー。個人的に、これが「ワンオペ育児」のOperationの使い方に最も近いなと思っています。

「ワンオペ育児」言葉狩りの後ろにあるもの

ワンオペ育児という言葉に異常に反応してしまう人(私の観測範囲内ではだいたいが母親)たちは、きっと真面目で責任感があって、だからこそ育児とはこうあるべき的な幻想に苦しめられている人なんだろうなと思います。

育児とは愛情をもって子供に接することそのものでなければならない、と思っているし、そうありたいと願っているのに現実は思い通りにならないことが多すぎて疲労ばかりが溜まっていく。私が毎日こんなに頑張っていることを「作業」なんて、誰にでもできると言わんばかりの気軽な言葉で表現してほしくない!

ということなのかな、と。
そう感じている人こそ、育児は一連の作業だと思ったほうがスムーズに進むと思います。子供への愛情表現と、育児という毎日の生活は別の話です。相関関係はあるけれど、育児のすべてを愛情の発露にまで昇華させる必要はないのではないでしょうか。
親だって不完全な人間で、お釈迦様にはなれないのです。

そんなわけで、世の中の育児中のみなさん、お疲れ様です。Love & Peace。


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